骨董品買取 朝伊苑

















備前焼 藤原啓の買取


藤原啓は1899年に岡山の和気郡伊里村穂波(現在の備前市穂波)に生まれました。
1970年に人間国宝に認定されます。
備前の閑谷学校に学び、早稲田大学に進学します。
同郷の正宗白鳥や、坪内逍遥など文芸界の著名人と交流します。

時は大正ロマンの浪漫的な薫りに包まれるなか、藤原啓もまた文芸の道を邁進いたします。
しかし1937年には備前に帰郷し、療養もかねて留まるうちに、正宗敦夫(白鳥の弟)の勧めもあり陶芸の道に踏み込みます。
齢40頃に陶芸家として開花した藤原啓は、その後、金重陶陽の指導を受け、さらに荒川豊蔵、川喜田半泥子、北大路魯山人、イサム・ノグチなどの著名人と交流します。

備前焼の真髄は、「一焼、二土、三細工」とも謂われます。
人の手の技術にもまして、この土や焔の造りだす素朴な造形の奥ゆかしさは、河井寛次郎・濱田庄司・柳宗悦らが推進した民芸思想に通じるものがあります。
彼らの提唱する用即美、すなわち実用に即した美しさの追及は、藤原啓の作陶の源流を形作る要素であります。
文学の世界を一度は志した藤原啓の造り出す世界は、ロマン心に包まれるほっこりと温かな薫りに満ちております。

端正・美麗というよりは単純・素朴という言葉が似合う藤原啓の陶芸には、文学を嗜みまた書も能くした彼の生き方が反映されているといえます。